「遺言」の読み方は2種類あります。
「ゆいごん」と「いごん」です。何がどう違うのでしょうか。
まず、広い意味では同じです。どちらも亡くなった方の”意思”を形にしたものです。
しかし狭い意味では少し使い分けがなされます。
「ゆいごん」の場合は、死んだ後に残すメッセージ全般のことを意味します。上記で述べた広い意味そのままです。その形式に決まりはありません。紙に書いたものでも音声や動画で残した言葉でもそれは「ゆいごん」です。それが法的に有効か否かは関係ありません。
そして「いごん」の場合ですが、「ゆいごん」との決定的な差は”法的に有効な物”という点です。民法960条には「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と書かれています。つまりここでいう”遺言”は「いごん」ということになります。”この法律に定める方式”というのがこの後の961条以降にズラッと書かれているのでこれに従って”遺言書”を作成すれば法的効力が発生することになります。
法的効力というのは”強制力”がはたらきますので、もめ事など争いが起きた場合には重要になってきます。逆に言うと、相続人間でもめない、円満に話し合って全員が快く従うのであれば別に「いごん」でなくてもビデオレターみたいな「ゆいごん」でも構わないわけです。
長くなりましたが、結局のところ「いごん」は「ゆいごん」の中でも法的効力のあるものを指す時に使う便宜的な言葉であって、厳密にどっちが正しいとか間違いという訳ではないのでそれほど気にせず使っても問題ありません。
因みに、法的効力のある「遺言書」の作成をお考えの際は、ご自身で作成することも可能ですが何か一つでも要件が欠けていたり間違っていると”無効”となってしまう可能性があるので、可能であれば弁護士や司法書士、またはお近くの行政書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
先ほど出てきました民法に書かれている「遺言の方式」についてはまた別の記事で触れてみようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。